日常茶飯の暮らし

仕事と家事の合間のよしなしごと

エンタメ見聞録2024/11

短い秋を満喫しながら読んだもの、見たもの。

本・漫画

女たちの平安後期:紫式部から源平までの200年

今年どっぷりはまった大河ドラマ「光る君へ」が発端で読んだ本。高校の古典教師が定子&清少納言ファンだった影響で、これまで中宮・彰子に意識が向かなかったのだけど、見上愛さん演じる彰子が素晴らしく、長命だった彼女がどんな後半生を過ごしたのかを知りたくて手にとった。ドラマ中では父・道長の政争の道具だった面が強調されていた彼女。道長の死後、女院(上東門院)として宮廷のトップに立つ様は清々しい。妹・妍子の娘である禎子内親王(女子誕生で三条帝や道長が落胆した)が藤原摂関政治を終わらせたのも何と皮肉なことか。

源氏物語」で度々登場する斎王・斎宮職のパワーバランス上の重要性なんかも触れられていて面白かった。後半部はあまり興味が持てず、ささーっと文字だけ追う感じだったけど、武士の時代の到来を予感させる大河のラストを観て読み返したくなりました。

歴史学はこう考える

研究分野ごとの方法論や規範に興味がある。「光る君へ」の製作を裏で支える歴史考証の営みが気になって、歴史学の方法論にフォーカスした本書が出るのを楽しみにしていた。

導入がうまい。素人の私が「長徳の変で伊周たちがバカやったせいで定子様は可哀想な目にあうんよ」と荒く語る場合と、歴史家が歴史的記述をする場合の違いについて、要請される根拠(史料およびその使い方)を軸に峻別することで、プロの歴史家の営みだったり共有する規範を浮かび上がらせる。

「第二章 史料はどのように読めているか」では特定の史料を一文ずつ読み下しながら、プロが史料にあたる際の手順が詳らかにされる。他学部の演習にもぐらせてもらってる気分になる。バックヤードツアーとかプロの手の内を見せてもらうのが好きなので、この章だけで元の期待は超えた。史料の誤読、解釈の不一致、ご都合主義的な史料利用がどうやって生じるのかにも通じる内容で、本気で歴史を語るハードルの高さに慄く。

続く第三章以降では、歴史学のサブ分野(政治史・経済史・社会史)に分け入っていく。一口に歴史学といっても方法論の多様性や豊かさが垣間見られて面白い。テーマや扱う史料の違いはもちろん、求められる(因果)推論にも差異があるなんて。全章通じて一番唸ったところ。

第六章の「立場性と歴史著述の関係」は、歴史学者と対象の価値/規範の関係にスポットがあたる。学者が立場性をもつことは専門知を受容する側のリテラシーである一方で、歴史学をより豊かにする源泉でもあるのでしょう。

世界のカレー図鑑:101の国と地域のカレー&スパイス料理を食の雑学とともに解説

ミールス熱の高まりに乗じて図書館で借りた本。本書ではカレーの定義をかなり広くとっていて「多種の香辛料を使用した、米やパン、イモなどの主食と食べるおかず」あるいは「カレーパウダーを使った料理」に該当するものは全部カレーとして解説の対象とする。日本ではおなじみのナンと一緒にいただく北インドカレーからメキシコのモレ・ポブラーノ、サウジアラビアのカブサまで。特に興味をひいたのは、イギリス経由でカレーを受容した日本、香港、日本経由で流入した韓国、台湾、中国それぞれでカレーが異なる発展を遂げている点。香港のココナッツミルクを効かせた海南咖喱や咖喱魚蛋(フィッシュボール)も食べてみたい。

ブルーピリオド(16)

久しぶりの新刊。ユカちゃんが生きていて、誰にも邪魔されない場所で生活を築いていてほっとした。ずいぶん前に山口さんが『美術手帖』の対談で「本作を大学芸術に閉じないようにしたい」という主旨の発言をされていたけど、手を変え品を変え色々なフィールドが描かれるので全然飽きない。

展示

はにわ展@東京国立博物館

近美の展覧会とセットで感想をまとめる予定、と言いつつ怪しくなってきた。

平成館には常設の考古展示室があるけれども、里帰り組も含めて方々のはにわが集い、修復の成果や新説に触れられるのはよいこと。

TeamLab Planets Tokyo

関東観光にきた義両親に連れていっていただいた。「五感で味わう体験型展示」というコンセプトのもと、デジタルツールや水など様々なツールを駆使して、展示室ごとにまったく異なる世界が構築されている。こういう没入型展示の楽しみ方をよく分かっていなかったのだけど、近しい人とぞろぞろ入って「鑑賞モード」ではなく「遊び/世間話モード」で浸るのは面白いかもしれない。

上演芸術・イベント

十一月歌舞伎座特別公演「ようこそ歌舞伎座へ」

歌舞伎の人情劇や長丁場の舞台が馴染まないので、喜劇や手軽に観られる演目ばかり足を運んでいる。今回は設備工事の都合で劇場紹介メインとなった特別公演へ。


中村虎之介さんによる歌舞伎座の舞台や演出の解説。通常の舞台だと流してしまう所作の一つ一つに注意を向けるいい機会になった。途中、動物(虎・猪・狐・犬・鼠・蝦蟇)が舞台上を駆け回り虎之介さんが蹴散らす場面も。最後はお行儀よくご挨拶していて、子ども向けの着ぐるみショー味があった(ここだけ撮影可)。

後半の河竹黙阿弥作「三人吉三巴白浪」と「石橋」も楽しく観た。一緒に行った母は「石橋」の毛振りにブーブー文句垂れていました。古参の客は怖い。