日常茶飯の暮らし

仕事と家事の合間のよしなしごと

エンタメ見聞録2024/10

暑さが和らぎ読書や遠出する元気が湧いてきた10月。プライベートで見たもの読んだもののメモです。

本・漫画

東大ファッション論集中講義

よくある服飾史の授業ではなく、ファッションを考える/ファッションで考える視点を提供する、カルチュラル・スタディーズの集中講義を書籍化したもの。授業のライブ感を楽しんでほしいとの著者の言葉どおり、短い敬体中心の本文は読みやすく、図像とともに紹介される豊富な事例が目にも楽しい。

特に面白かったのは、「第7講 展示と鑑賞:ミュージアムのファッション展」。ここ数年はCHANELMARY QUANT、DIOR、SAINT LAURENT、高田賢三などなど、都内の美術館やギャラリーでもファッション関連の展覧会が目白押しだよね。「どこの美術館も懐が深くなったなー」と呑気に馳せ参っていた私にはタイムリーな内容だった。ファッションの流行性と美術館の使命の緊張関係のなかで、どうやってファッション展が今の地位を確立したのか。『VOGUE』編集長などメディア関係者がプロデュースする展覧会の功罪とは。民芸など他ジャンルの展示にも共通しそうな視点・論点が扱われている。

個人的にありがたかったのは、「第12講 批評と研究:ファッション学からファッションスタディーズへ」が実質的に読書案内を兼ねている点。ファッションは好きだけど、他学部の「西洋服飾史講義」でC(可)を叩き出し、ファッション学の本を手に取っては挫折してきた半生。かつての挫折本たちが研究潮流での位置付けとともに紹介されていて、再挑戦する気になった。

日本の政策はなぜ機能しないのか?〜EBPMの導入と課題〜

納税者として「お気持ちで政治/政策立案しないで!」とは常々願うこと。ネーミングの引力でEBPM(Evidence-Based Policy Making;証拠に基づく政策立案)に興味をもったものの、公共政策学の教科書はまだ敷居が高いので、こうした新書が出るのは大きな助けになる。内容は政策評価がメインだったけど、エビデンスの類型から合理性の限界まで丁寧に説明されている。特に「アカウンタビリティのジレンマ」の紹介は唸りながら読んだ。監督省庁への報告書作成のために本業が疎かになる本末転倒はまじで何とかしてほしい、しかし証拠は必要……

かげきしょうじょ!! 15

新刊が出るたびに細々と追っている。表紙のペン・水彩画が電子版で見ても綺麗。さらさの異母姉・丁嵐志織さん贔屓なので、挫折の果てに「推される女」を支える立場になった大人の登場に高まる。

ふつうの軽音部

毎週日曜日のお楽しみ。(レズビアンであることをアウティングしている子がほとんどいない)女子校軽音部出身者なので作中の色恋沙汰が新鮮。

展示

世界のビーズ展@文化学園服飾博物館

装飾具としてのビーズにフォーカスした展覧会。ビーズといえば、私は合成素材の丸いビーズを連想するけれど、古今東西のビーズの世界をのぞいてみると、素材も形状も込める意味合いも様々。ハンガリートランシルバニア地方のビーズ刺繍入り祭礼ドレス、ペルー・カンパ族の揺れるビーズで音が鳴るスリングなどが印象的だった。

ハニワと土偶の近代@東京国立近代美術館

東博のはにわ展とセットで感想を残す予定。

上演芸術(能・ライブ)

能楽ワークショップ@観世能楽堂

KANZE.net会員のご招待枠で参加。観世三郎太さんの仕舞「船弁慶キリ」と解説、関根祥丸さんライブ着付けからの「羽衣キリ」を含む1時間の体験型ワークショップ。ずいぶん前に国立能楽堂で観た関根さんシテの「船弁慶」が素晴らしかったので、思いがけない登場に歓喜。まさか舞台上で装束に着替えるお姿を見られるとは。専門の衣装さんではなく能楽師たちが互いに着付けることは知っていたけど、その場で調整縫いをしたり、演者に合わせて鬘を毎回結い上げるのも能楽師の役目だとか。手際よく進む様に感心しきりでした。

実は能楽堂は産後最も行きにくくなった場所。自宅からのアクセスや拘束時間もハードルだけど、短時間かつ刺激的なエンタメが乱立するなかで、簡素な舞台上でゆっくりと進む能を楽しむ精神的な余裕が無くなったのが一番の理由だと思う。でも、久しぶりに天女が橋掛かりを通って幕の向こうへ消えていくのを見送ってみて、こうして息を呑んで人ならざる者を見つめる瞬間にしか味わえない楽しみを思い出した気がします。ケチケチせずに一番だけさっと観るとか、今の自分に合った楽しみ方を見つけていけたらいいな。欲を言えば、またお稽古もしたい。

ZAZEN BOYS 「MATSURI SESSION AT BUDOKAN」

感想はこちらの記事にて。

rickenbacker650.hatenablog.com